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米国消費者製品の輸入および販売規制
2021-02-19



米国消費者製品の輸入および販売規制



■ 概要


消費者製品は、日常生活の中で消費者が直接使用する製品を指します。


消費者製品は、消費者の健康と安全に直接関係されるため、米国は消費者製品に対して広範な安全規制をかけており、その規制を統括する機関は、米国消費者製品安全委員会( CPSC )です。


以下では、外国から米国に消費者製品を輸入、販売することにあって、その輸出者、輸入者、販売者が知っておくべき米国の規制と消費者製品安全委員会の役割等について包括的に説明しようとします。



■ 管轄機関 - CPSC


消費者製品安全委員会( CPSC : Consumer Product Safety Commission )は独立連邦機関として、消費者製品の安全確保および消費者の権利保障に関する包括的な職務を遂行します。(以下、委員会と略称します。)



■ 執行法令


委員会で管轄、執行する法律は、消費者製品の安全性を規定するものであり、その中の重要な法律は以下のとおりです。


ㅇ消費者製品安全法( CPSA : Consumer Product Safety Act )

ㅇ消費者製品安全改善法( CPSIA : Consumer Product Safety Improvement Act )

ㅇ連邦危険物法( FHSA : Federal Hazardous Substances Act )

ㅇ子供の安全保護法( CSPA : Child Safety Protection Act )

ㅇ危険な画材ラベル法( LHAMA : Labeling of Hazardous Art Materials Act )

ㅇ可燃性織物法( FFA : Flammable Fabrics Act )

ㅇ毒物予防包装法( PPPA : Poison Prevention Packaging Act )

ㅇ冷蔵庫安全法( RSA : Refrigerator Safety Act )

ㅇプールおよび浴槽安全法( VGBA : Virginia Graeme Baker Pool and Spa Safety Act )

ㅇ子供ガソリン火傷の予防法( CGCPA : Children's Gasoline Burn Prevention Act )

ㅇ米連邦規定(16 CFR 1101 〜 1750 )



■ 対象物品


☉ 消費者製品の含む


世界のすべての物品は消費のために作られているので、消費者製品の辞書定義は非常に広く展開されることがあります。


しかし、法律や委員会が規制対象とする消費者向け製品は、より直接的に消費に提供されているもののみをいい、消費者製品安全法による定義は次のとおりです。


ㅇ家庭、住居地、学校、余暇活動などで使用するために販売目的で生産、配布される製品、部分品


ㅇ家庭、住居地、学校、余暇活動などで個人使用、消費、娯楽のために生産、配布される製品、部分品


以下では、上記の定義に該当する製品として、委員会の管轄下にある製品だけを消費者製品に呼ぶことにします。



☉ 消費者製品の除く


上記の定義から外れた製品、すなわち、慣習的に消費や使用を目的として製造される製品ではないものは、消費者製品から除外されます。


また、上記の定義に含まれ、消費者製品に該当するものでも、米国の他の連邦機関で別途に管轄する製品は、少なくとも委員会が管轄する消費者向け製品では、除外されます。


(自動車、トラックおよび部品、タバコ製品、火気および弾薬、農薬、アルコール飲料、航空機、航空機エンジン、ボート、食品、薬品、化粧品などは、他の連邦政府機関の規制に従う)



■ 規制の構造


ㅇすべての消費者製品は、安全に関する委員会の監督を受けるようになっています。消費者製品は、外国から輸入される製品でも米国で生産された製品でも同じ法律によって同じ規制を受けます。


ㅇ消費者製品は、委員会が直接、強制的に規制をかけるものと、民間の自律規制に委ねられた製品に分類されます。(注意:自律規制に委ねられた製品でも、委員会の関与が全くないわけではなく、消費者の安全に関係がある限り、委員会の監督を受けることになります。 )


ㅇ物品を米国に輸出する者とその輸入者または販売者は、自分が扱っている製品は、委員会の管轄の消費者製品に対応しているか、もし該当する場合は、強制的規制の対象かどうかを事前に確認しておくことが重要です。



☉ 強制規制対象物品


消費者製品の中では、特に危険性が高いか、使用者を保護する必要性が高い製品は、法律または連邦規定で強制的に適用される個別の基準、要件、罰則などを置いています。


現在、強制規制対象である消費者製品の項目は、約250種類であり、継続的に拡張される傾向にあります。その項目の一部は、特定の物質が含まれているすべてのものを含んでいますので、実際に強制的規制の対象となる消費者のための物品の範囲は非常に広いです。(約15,000種類の物品と推定)


製造業者、輸入業者、販売業者は、扱う物品が強制的に規制されている製品なのか、規制対象物質が含有されている物品であるか、具体的な規制内容が何なのかを必ず事前に確認し、規制内容に適合するようにする必要があります。


委員会で提示している強制規制対象の消費者製品の種類、規制内容、関連法令等は以下のとおりです。


※ 義務的な標準および強制規制が存在している消費者製品 - CPSC

https://www.cpsc.gov/Regulations-Laws--Standards/Regulations-Mandatory-Standards-Bans


※ 主な規制物品

おもちゃおよび子供用物品、鉛を含む塗料、自転車およびバイクのヘルメット、火薬、可燃性織物、美術材料、タバコライター、多目的ライター、二段ベッド、建築用ガラス質、マッチ箱、CBとTVアンテナ、芝刈り、電動芝刈り、プールすべり台、繊維質断熱材、ガレージアクチュエータ、ゴミ箱、可燃性接着剤、アスベスト含有製品、家庭用化学物質、冷蔵庫のドア、毒性防止包装法( Poison Prevention Packaging Act )に規定された特定の化粧品、薬品および家庭用化学物質など

 


☉ 自律規制対象物品


消費者製品の中で上記の強制規制対象ではない物品は、法律や規制上の1次的に守るべき要件や標準などがなく、製造業者が自律的に安全標準に準拠するかどうかを決定することができます。


しかし、自律標準を守らない場合、法律による直接的な制裁が加えられることはありませんが、消費者製品についての包括的な取り締まりの権限を持つ委員会から欠陥製品で判定受けたり、又はリコール命令を受ける可能性が高くなるので、自律標準の遵守と消費者の安全性を無視してはいけません。


※注意すべき点は、消費者製品に関連する法令が、特定の製品の安全基準に対して強制的標準を直接指定せずに、、特定の民間自律標準( ASTMなど)に従わなければならないと定める場合もありますが、このときは、その民間標準が強制標準と見なされる点です。


自律標準は、主に民間の主導したりするが、委員会もこれらの自律標準の策定にある程度は一緒に関与しています。消費者製品に関わる重要な自律標準機関は、次のとおりです。


ㅇANSI (米国国立標準協会: American National Standards Institute )

動力機構、ガーデン用器具、家庭用品、安全ラベルリングなど 

http://www.ansi.org/


ㅇASTM International (米国材料試験協会)

子供用製品、レジャー用品

http://www.astm.org/Standard/index.html


ㅇNFPA (米国防火協会)

電気製品、火災鎮圧製品(スプリンクラー、消火器)、燃料装置

http://www.nfpa.org/


ㅇUL (米国保険業者研究所)

電気製品、その他の製品

https://www.ul.com/



※自律標準対象物品のご案内 - CPSC

https://www.cpsc.gov/Regulations-Laws--Standards/Voluntary-Standards



■ 輸入者と消費者製品の安全責任


外国から米国に輸入される消費者製品の安全性に関する責任は、製造業者、輸出業者、輸入業者、卸売業者、小売業者など、そのサプライチェーンの関与主体が共同で受け持つようになっています。(ただし、配送業者は責任がありません)


特に消費者製品安全法は、消費者製品の輸入業者を、その物品の製造業者と同じ会社であると考えていることを明示しています。従って、外国から輸入される製品については、輸入者がその製品の安全性について直接責任を負う必要があります。



■ 規制された消費者製品の法律ごとの規制内容


消費者製品の強制規制は、いくつかの法律に由来しており、それぞれの法律は特定の製品、安全標準、ラベル表示、認証など、消費者の安全について規律しています。

それに対する具体的な実行​​は、委員会が管轄する米連邦規定のタイトル16( 16 CFR )に規定されています。


しかし、その法律を一つずつ確認しながら、自分が扱う物品に対する規制を探していくのはかなり難しいことなので、以下のように委員会が、製品別、構成物質ごとにまとめた表を積極的に活用する必要があります。

 

※ 強制的な規制が存在している消費者製品および規制内容

https://www.cpsc.gov/Regulations-Laws--Standards/Regulations-Mandatory-Standards-Bans


委員会が執行権限を持っている消費者製品の安全性を規制する主な法律ごとの規制の内容は次のとおりです。



☉ 消費者製品安全法( CPSA : Consumer Product Safety Act )


この法律は、消費者製品の安全に関する全般的な規制内容を含んでおり、個々の品目別の安全基準はもちろん、製品試験、認証、レポート、リコール等について幅広く規律しています。


ㅇ法律

http://www.cpsc.gov/PageFiles/105435/cpsa.pdf


ㅇ関連する連邦規定(16 CFR 1101 〜 1450 )

http://www.ecfr.gov/cgi-bin/text-idx?SID=e61a321da58c0041778ae5c7ffe6d983&c=ecfr&tpl=/ecfrbrowse/Title16/16cfrv2_02.tpl#1000

 


☉ 消費者製品安全改善法( CPSIA : Consumer Product Safety Improvement Act )


この法律は、消費者製品安全法のうち不足している部分を補ったり、新たな安全規定を新設したことを主な内容とします。

特に子供用の製品の安全規制を強化しており、鉛やフタル酸エステル(可塑剤)の含有量規制、子供用の耐久性製品の規制、第三者試験機関を通じた強制試験、追跡ラベルの付着などが主な内容です。


ㅇ法律

https://www.cpsc.gov/s3fs-public/pdfs/blk_pdf_cpsia.pdf


ㅇ関連する連邦規定( 16 CFR 1107,1109,1130など)

http://www.ecfr.gov/cgi-bin/text-idx?SID=e61a321da58c0041778ae5c7ffe6d983&c=ecfr&tpl=/ecfrbrowse/Title16/16cfrv2_02.tpl#1000

 


☉ 連邦危険物質法( FHSA : Federal Hazardous Substances Act )


この法律は、消費者製品中の有害物質が含有された製品に対して危険、警告、緊急時の措置の内容等を記したラベルの貼付義務を課しています。


ㅇ法律

https://www.cpsc.gov/s3fs-public/pdfs/blk_pdf_fhsa.pdf


ㅇ米連邦規定(16 CFR 1500 〜 1513 )

http://www.ecfr.gov/cgi-bin/text-idx?SID=e05efeb6ed640c79d68ea38dedb3e1bc&node=16:2.0.1.3.79&rgn=div5



☉ 可燃性織物法( FFA : Flammable Fabrics Act )


この法律は、可燃性が高い織物のための安全規定を含んでおり、委員会はこの法律に基づいて、服の織物、ビニール、プラスチックフィルム、カーペット、毛布、子供のパジャマやマットレスなどについて強制基準を置いています。


ㅇ法律

https://www.cpsc.gov/s3fs-public/pdfs/blk_pdf_ffa.pdf


ㅇ米連邦規定(16 CFR 1602 〜 1633 )

http://www.ecfr.gov/cgi-bin/text-idx?SID=e6757130e16897d3fe6002f297a90cd2&c=ecfr&tpl=/ecfrbrowse/Title16/16cfrv2_02.tpl



☉ 毒物予防包装法( PPPA : Poison Prevention Packaging Act )


この法律は、いくつかの家庭用消費者製品について幼児誤飲防止包装( CRP : Child Resistant Packaging )をするように規定しています。つまり、化学製品および化粧品類、エタノールを含む口腔洗浄剤、医薬品および栄養補助食品等について、 5歳以下の子供または高齢者がかなりの時間の間開封しにくくデザインしなければならず、一方、通常の大人たちが使用するのに困難があってはならないと規定しています。


ㅇ法律

https://www.cpsc.gov/s3fs-public/pppa.pdf


ㅇ米連邦規定(16 CFR 1700 〜 1702 )

http://www.ecfr.gov/cgi-bin/text-idx?SID=e61a321da58c0041778ae5c7ffe6d983&node=16:2.0.1.5.100&rgn=div5


 

■ 規制対象の消費者製品の試験、認証


☉ 子供のための消費者製品 - CPCの認証


子供のための消費者製品は、消費者製品安全改善法( CPSIA )で特別な規律をしており、その概略は以下のとおりです。


ㅇ子供と0〜12歳までをいい、子供を主なユーザーと予想して作られたものをいいます。


ㅇ鉛、フタル酸エステル(可塑剤)の含有量に関する基準と米国試験および材料協会( ASTM : American Society For Testing and Materials )で規定されたおもちゃの安全基準を満たしている必要があり、必ずしも消費者製品安全委員会に登録された第3試験機関の試験に合格する必要があります。


ㅇ輸入者は、上記の試験に基づいて、その子供向けの製品は米国の規定に準拠している認証書を発行する必要があり、毎回の船積み分ごとにこの認証書は、製品自体または貨物に伴う必要があります。( CPC : Children's Product Certificate )


ㅇ米国に輸入される子供用の製品は、その製造業者の追跡と製品欠陥についてリコールを容易にするために、製造者名、輸入者名、モデル名、連絡先などを記載した追跡ラベルを付けることが義務付けられています。



☉ 非子供製品 - GCC認証


消費者製品の中で子供用ではないものとして、強制的な規制がある製品は、下記の方法で試験および認証が行われます。


ㅇ子供用製品とは異なり、必ずしも委員会が認定する第三者試験機関で試験が行われる必要がなく、独自の試験、外部試験などを自律的に決定することができます。試験方法は、合理的な方法による試験である限り、製造会社などが自律的に決めることができます。


ㅇ輸入される非子供用の消費者物品については、試験を経て、その製品が消費者の安全規定に合致していることを証明する一般的な適合性認証書( GCC : General Conformity Certificate )を発行する必要があります。



☉ その他の共通事項


ㅇ輸入される消費者製品の認証書の発給及び責任の主体は輸入者です。


ㅇ認証書( CPCまたはGCC )は、別のフォームがあるわけではなく、製品についての説明、認証された安全規則の内容、輸入業者情報、製造場所、製造日などを記載します。認証書は、英語で作成されている必要があり、必要に応じて英語以外の言語を追加することができます。


ㅇ認証書は、輸入品の毎回の船積みごとに貨物またはその製品に伴う必要があり、輸入後は、配布者、小売業者などに提供する必要があります。しかし、輸入者が直接最終消費者に販売する場合には、最終消費者に認証書を提供する必要がありません。


ㅇ認証書の提供は、電子的な方法で提供されることも許可されます。また、委員会や税関( CBP )が認証書の提出を要請時にはいつでも認証書を提供する必要があります。



■ 輸入通関時の留意事項


ㅇ委員会は、米国の主要港湾に所属調査官を派遣して、消費者製品の輸入監視活動を行っており、輸入通関については、委員会と税関( CBP )が協力して取り締まりをします。


ㅇ委員会は、輸入される消費者製品のサンプルを無作為に抽出して検査する権限があります。


ㅇ規制される消費者製品(子供用を含む)が義務基準に適合していないか、または認証書の不備、虚偽の認証書の提供、ラベル規定違反、他の強制規定に合致しない製品の場合、委員会はその製品を抑留したり、補完を条件とした搬出許可などその他の必要な措置をとることができます。


ㅇ別の規制規定がない消費者製品でも、製品の危険性が著しい場合、委員会や税関は、輸入通関を拒否することができます。


ㅇ委員会の強制規格に達しないか、その他の要件に違反した場合、破棄、返送、抑留、通関拒否、民事賠償、刑事罰の制裁を受けることができます。



■ 報告義務


ㅇサプライチェーンに属するすべての企業は、その取扱い物品に対して強制的規制規定の存在の有無を問わず、製品の危険性や欠陥について委員会に報告する義務があります。(製造業者、輸入業者、配布者、小売業者などを含む)


ㅇ報告者は、製品が義務基準に適合していないか、現実的または潜在的に製品のリスクを引き起こす可能性のある欠陥があることを知ってすぐに(通常は24時間以内)委員会に報告します。


ㅇ大きい製品のリスクに起因する強制リコールおよび米政府(税関および委員会)に不良品または不良業者として登録される問題を回避するためには、製造業者は委員会の規制上の義務基準はもちろん、民間部門の標準(自律基準)まで徹底的に遵守する必要があります。



■ 委員会の監督、リコール


委員会の一般的な管理監督の範囲は、すべての消費者製品に包括的に与えており、強制規制対象物品でも自律的標準がある商品でも問いません。


委員会は、消費者製品の製造自体については関与しません。しかし、いったん市場にリリースされた後は、消費者製品のリスクから消費者の安全を確保するために、さまざまな方法で事後監視活動を行っています。


委員会は、当該製品の返品状況、部品の注文状況、消費者の指摘や訴訟の状況、インターネット情報などを活用して情報を収集しており、監督活動は市場調査、報告義務に違反するかどうか、サンプルの収集、製品の試験と分析、リコール交渉、インターネット監視、消費者への通知など、さまざまな領域で行われます。

 

委員会は、消費者製品に重大な危険があると判断した場合、製造、販売、小売、輸入業者に製品のリコールを勧告したり、強制的にリコール命令を下すことができます。リコールの実施方法は、製品の安全性を向上し、消費者の損害を補償する方法で行われます。現実的にはリコール通知、返品および返金、交換、無償修理、生産および供給停止などが代表的なリコールの方法です。



■ その他注意事項


米国での消費者製品に対する規制は非常に包括的でありながらも厳しいです。


一度、消費者製品の定義があいまいな面があり、関連規制は特定の製品ごとに具体的に明示されていないまま、特定の物質が含まれているすべての製品と規定されている場合も多いので、その製品の製造業者や輸入業者が法律上の要件を探して遵守することは容易ではありません。


それにもかかわらず、法律上の要件を守らない場合、受けられる罰則、賠償、輸入拒否、強制リコール、製造物責任( PL )などは、消費者物品を扱う取引主体にとって非常に大きな打撃を加えることになります。したがって、サプライチェーンに関わるすべての主体は、製造、輸入、流通、事後管理まで、米国の規制と規格や要件を徹底的に守るための絶え間ない研究と努力が必要です。


※コメント:米国の貿易関連法令や制度は、他の国に比べて包括的で曖昧なのにに反して、その違反時のペナルティは非常に強いという点に注意する必要があります。一日も早く、連邦政府レベルで特定の製品ごとにすべての要件や規制が明快に整理されているデータを提供することを願いします。


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